夢と現実を行き来する僕の心臓

僕は、彼女と一緒にクラブイベントの開演前の列に並んでいた。
そこは高速道路の下にあたる場所で、周りには鉄筋やつるはしなどの工業用道具が散乱している。
僕達の前には、金髪で小柄な女性が１人いた。
すると、うしろの方から僕を押し退けて大柄の女性が列に割り込んできた。こちらの女性も金髪だ。しかしひどく髪がちぢれて傷みに傷んでいる。誤魔化そうと、クルクルのパーマをかけているが…全くの逆効果だ。
どうやらさっきの小柄な女性の知り合いらしく、きゃあきゃあと盛り上がっている。
僕は割り込んできた子の肩を掴み『おい！』と言った。
二人の女がこちらを向き、なにか文句でも？と言わんばかりの顔をして、こちらを見ている。
僕はその顔を見て無性に腹が立ち、こう言った。
『なぜ君は僕を押し退けてそこに並んでいるんだ』 女達の表情は変わらない。
僕は続けて罵倒した。
『君らみたいな格好をした人が何故こんなところにいるんだ？どうせ未成年だろ？(どういう訳か、身分証の様な物を首から吊り下げている。)ほら見ろ、まだ19じゃないか！子供はさっさと帰れ！』
自分の意識とは違う言葉で僕(なのか?)は女達を罵る。(この時、自らの意識が“僕の姿をした男”の中にない事に気付く)
気付いた時には大柄な女の胸ぐらを掴んでいた。
ハッと我に帰り、そのまま列に戻った。
女達は何事もなかったかのようにきゃあきゃあと話をしている。
しばらくして、後ろから大柄で奇抜な格好をした３人組の男達がやって来た。
彼らは女達の知り合いだった様で、気だるいハイタッチをし合っていた。
嫌な予感がしたので、女達が何か告げ口をするのではないかと注意して見ていると、さっきまで隣にいたはずの彼女が居なくなっている。
思わずギクッとして、首筋に冷や汗が流れた。
僕は、顔全体のパーツ全てが真逆の方向へ引っ張られる程に歪な形相で男達に詰め寄って言った。
『どこだ？』
その顔があまりにも歪だったからか、彼らは怯え、すぐに白状した。
３人組とは別で行動していた仲間に連絡していたらしく、そいつが連れ去ったと言う。
僕は急いで彼らが指を指した方向へ走った。
見付けた！
その男は駐輪所でバイクに乗る寸前だった。
『おい！！』
走って追い掛けたが、寸でのところでバイクは発進してしまった。
『クソッ！』
それでも僕は走り続けた。
しばらくして、バイクの音も聞こえなくなった頃…

ドン！！！

なにかが爆発したかのような衝撃音がした。

なんだ？

急いで門を曲がると…

ゴロゴロゴロ。

さっきの男が血塗れで転がって来た。
偶然にも彼女は途中で降ろされていたらしく、そこには横転したトラックと男が乗っていたバイクだけがあった。
安心したと同時に、姿の見えない彼女の安否がとても心配になった。
彼女は酷く怯えていたに違いない。まだ見ぬ彼女の顔を想像するだけで、心の底から憎悪が沸き上がって来た。
僕は血塗れの男の顔面に、何の躊躇もなく拳を振り下ろした。

血が飛び散ったがそれでも怒りは治まらず、もう一度拳を振り下ろした。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

拳を振り下ろす。

血が飛び散る。

いくら殴っても血がなくならないんだな。と、ふと思い拳を振り上げた瞬間、目が覚めた。
僕の心臓は夢の世界の心臓と同じ早さでドクドクと鳴っている。
心臓だけは現実と夢を行き来している。
僕の心臓は夢から醒めていない。

タグ：夢日記 心臓 血塗れの顔

ある日の夢の中 ～自然～

友達の友達、顔見知りの人と偶然道端で会った。
あちらは他にも５~６人の人たちを連れている。しかしそこには私の知り合いはいない。友達の友達、顔見知りの友達はもはや何のつながりもなかったのだ。
「ビールの一つぐらいおごってやるよ」
今から居酒屋に行くらしく、ついでに君も来ればいい。特に予定もなかった僕はその見ず知らずの集団の中へ入って行った。
出会った場所が高台にある集合団地だったため、少し飲みに行くのにも道路に面した山道を下って行かなければならない。霧の濃い日だった。
少し歩いて行くと、集団の前の方がざわついている。
「・・・いじゃな・・・か？」
「そん・・・まさか・・・」
配送業者の大型のトラックの音でよく聴こえない。霧のせいで視界も悪い。
僕は嫌な予感がしたため、急いで前の方にすすみ話を訊いた。
「どうしたんだ？」
「あれ、霧かな？」
彼は山のふもとにある街の方に指をさした。少し見えづらいが、街の方にも霧がかかっているように見えた。しかし、徐々にこちらの方に向かっているようにも見える…
「・・・・・・・」
皆、無言で様子を窺っている。いや、中にはビールの事しか頭にない奴もいたに違いない。しかし、そんな奴ですらこの景色を観た時にはサァーっと血の気が引いた。もちろんそいつだけじゃない。僕含めた全員だ。
少し霧が晴れた瞬間僕らが見たものは、想像を絶するものだった。街のどの建物よりも大きく、電波塔の倍程の高さの波が山のふもとまで押し寄せてきていたのだ。
「こんな津波が来るなんて話、聞いてないぞ！」
そんな事より真っ先に浮かんだ言葉は
「はやく逃げなければ！」
しかし、その言葉を発するより早く動いたものは皆の足だった。
悲鳴を上げた者もいたが、真っ先に足が動いていた。みんなは近道を知っていたのか、けもの道を必死な顔で走って行った。そんな事を知る由もなく、僕は元来た道を走っていた。
道路に面したところに出ると、たくさんの車が通っていた為、横切ることが出来ない。ここを通らなければさらに高い団地まで行けないのだ。しかし、彼等は津波に気付く事無く優々と走行している。霧だ。
さっき少し晴れたと思っていた霧がまた濃くなっている。おそらく僕らが上に向かっているからだろう。
車が途切れるのを待っている間、後ろを見てみるとさっきあったはずの津波が消えている。
違う、一度ふもとにぶつかりその波がとんでもないスピードで山を駆け上がっているのだ。
何故か近道を進んだはずの集団が、山と山との間にかかる数十ｍ程の橋の向こう側にたどり着いた。彼らも道路を渡ろうとしている。冷静さを失った彼等は、無理やり渡ろうとした。その瞬間、彼らのうしろから２ｍ程の波が押し寄せてきた。たちまち彼らと車が巻き込まれ、同時に車に轢かれた者が波の中から飛び出すのが見えた。色々な音が重なって聴こえた。
グチャ！ビチャ！ドシャ！バキバキ！ガン！ガコン！グシャ！
大変な状況にようやく気付いた運転手たちは、急ブレーキを踏み急いで車から降りようとした。
僕はその間をかいくぐり、団地へと向かう階段を駆け上がった。うしろは見なかったが、おそらくそこにはもう何も残されていないだろう。
どんどんと僕の足が重くなる。必死に階段を駆け上がろうとする気持ちと足の体力は反比例していく。
足の体力が限界に達した時、僕は目覚めた。

タグ：夢 自然

ある日の夢の中 ～ドア～

僕は妻が寝ているかどうかを確認するために寝室に向かう。
寝室に妻はいない。
リビングにもいない。テレビがつきっぱなしだ。
子供部屋。おもちゃが散乱している。妻の名前を呼ぼうとしたが、名前がうまく思いだせない。
僕が閉めていった部屋のドアは、滑りが良すぎるせいか、閉まっては開き閉まっては開きを繰り返していた。ガー、ガタン、ガー、ガタン。部屋を確認するたびに複数のドアの音が開閉する音が延々と聴こえてくる。
次第にドアが壁に当たる音が聴こえなくなり、切れ目なくドアが滑る音が聴こえ出してきた。ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
目が覚めた僕は、実家の小さい時に母と姉とで布団を三枚敷いて寝ていた寝室にいた。しかし今はそんなところで寝てはいないはずだ。何かがおかしい。
ガー。
さっきの音がまだしている。そう思って左隣を見ると、姉がいるはずの布団に誰もいない。
おおかた僕が目覚めた瞬間、この部屋を出てトイレにでも行ったのだろう。そうか、だからドアが開いた音がしたんだ。
ガー。
姉が部屋に戻ってきた。そう思ってドアの方に目をやると、誰もいない。
ガー。
ドアは閉まる直前まで行くと、スピードをゆるめスウーと音も立てずに閉まった。
ガー。
また開く。閉まる時と同じように音も立てずに開いた。
ガー。
また閉まる。
ガー。
また開く。
ガー。
閉まる
ガー。
開く。
恐怖で体が震えだして、右隣にいる母の方を向き、声をかけようとした。声がうまく出ない。
こうなったら体を揺さぶってでも母を起こそうと思って体を動かそうとした。動かない。
何とかならないものなのかと、思いっきり力を入れると、唸り声のようなものが僕の口から絞り出すように出てきた。
その瞬間、現実に戻ってきた。
ガー。
という音は、外の雨の音だという事に気付いた。

タグ：ドア

ある日の夢の中 ~車中泊～

目覚めると車の中で、外は大量の雨が降っている。
運転手席に座っていた僕は何を思ったのか、急にドアを開け半身を外に出し、雨でぐちゃぐちゃになった地面に足を降ろした。
すると、降ろした足元から親指一本ほどの大きなゴキブリが姿を現した。ゴキブリはガサゴソと動き回っている。驚いた僕は、すぐに足を車の中へ引っ込め、ドアを閉めた。すると、アクセルペダルの下の方から大きなスズメバチが現れた。僕は反射的にドアを開け、スズメバチを追い払う為にブンブンと足を振った。すると意外にもスズメバチはすぐにドアから出て行った。
夢から目覚めると車の中で、雨は降ってなく、もちろん地面はぐちゃぐちゃでも何でもないし、そもそもコンクリートの上にいた。不思議な気持ちだ。

タグ：ゴキブリ スズメバチ

ある日の夢の中 ～ドーベルマン～

とても汚く、ホームレスのような格好をしている老人が、凶暴そうな犬を連れている。犬と目が合った瞬間、僕に襲いかかってきた。僕は急いで地下道のような所を走って逃げた。
すると、2人の中年の男が現れ、犬をなんとか捕まえようとしている。3人で協力して捕まえようとしたが、気がつけば凶暴な犬は、僕の左手にがっしりと噛み付いていた。
すぐに振り払って逃げようとしたが、同じように2~3度噛み付かれた。数ｍ先にエレベーターがあったので、急いで駆け込み地上へ上がった。
犬を乗せずに運良くエレベーターに乗ることが出来た。しかし、こんな凶暴な犬が都会のど真ん中に放たれたら、大変なことになる。そう思ったと同時に、ひとまず犬から逃げられた安心感から急にお腹が減ってきた。
ひとまず、さっきの事で高まった鼓動を落ち着かせるため、喫茶店にでも入ろうかと思ったが、財布の中には小銭が少しあるだけだった。これじゃコーヒー一杯も飲む事が出来ない。携帯電話で誰か呼ぼうとしたが、電話がどこにも見当たらない。なくしてしまったのだ。
さっき逃げてきた時にどこかに落としたのではないかと思い、エレベーターのボタンを押してみたが、一向に上がってこない。色々な不安が頭の中を巡った。
僕はさっきの地下道で、自分の安全を第一に考え一心不乱に逃げてきた。
あの中年の男達はどうなったのだろう。
なぜ地下道には、あの３人と１匹しかいなかったのだろう。
もし今、老人と飼い犬がエレベーターの所までたどり着き、中に入っていたとしたら。

そんな事を思っているうちに、エレベーターの扉は開いた。
中には携帯電話があったが、ぐちゃぐちゃに壊れていた。エレベーターの半分程が、大きな怪物に噛みちぎられたかの様に無くなっている。

ここで目が覚めた。夢だったのかと思い、とりあえず時間を見るため携帯電話を探した。すると、僕の携帯は見つけることが出来たのだが、夢と同じようにぐちゃぐちゃに壊れている。


驚いたのと奇妙な感覚が僕を襲った瞬間、全身に鳥肌が立った。
その瞬間やっと現実に戻ることが出来た。

タグ：ドーベルマン

ある日の夢の中

海沿いにある畑の農道をしばらく走ると、体長80cm程のモグラのような外見の生
物が、頭をぱっくりと切り裂かれた状態で息絶えていた。頭の中身は丸々えぐら
れ、鋭く尖った歯だけはそのままに、頭蓋骨は“なにか”に噛み砕かれたような
状態で近くに置き去りにされている。よく見ると、体の部分の毛が根こそぎ剥ぎ
取られている。
板をつぎはぎにして舗装された農道をそのまま走ると、道沿いにも同じような死体
が何匹か横たわっていた。
畑を抜けると小さな小屋がいくつかあり、その中に先程の死体がズルズルと引っ
張られている。
開いた扉から中を覗くと、暗闇の中から２つの目が用心深そうにこちらを見てい
た。
僕らが逃げ出そうとした瞬間、“そいつ”は襲い掛かってきた。
光に当たった“そいつ”は体長1m程にもなるカピバラのような生物で、歯は体の
半分程の長さでとても太く、先の方は鋭く尖っている。血がべっとりとついてい
るのを見る限り、先程の死体は恐らく“そいつ”の仕業に違いない。
僕は急いで近くに落ちていた木の棒を拾い、必死で振り回した。すると、意外に
もあっさりと“そいつ”は引き下がり、小屋に戻って行った。
僕たちなんかを相手にするより、先程の獲物の方が気になったのだろう。
僕たちは用心しながら先へ進んだ――――

――――場面は変わり
ヒョウヒョウとした顔をした細くて小さな男が、さっきのカピバラのような生き
物を10匹程集めて何やら話している。
『――もう出来るんだろ？やってみろよ！』
そう言うとカピバラの集団の中からフッと大男が現れた。集団を仕切っている男
の全てのパーツを、そのまま大きくしたかのような体型だ。
そいつが目をつぶって険しい顔をすると、姿形もなく視点としてだけ存在してい
るはずの僕の頭の中に、大男の声が入り込んできた。声と言うよりは、モールス
信号のように途切れ途切れに聞こえるノイズのようなものだ。

『上出来だ』
ヒョウヒョウとした男が口を三日月のような形にして笑った。なんとも不気味な
笑顔である。